父娘ゲンカが会社を巻き込む問題に発展した大塚家具だが、お詫びセールが好調で、むしろ業績は向上した。"炎上"をビジネスに結びつけられるか、それとも、そのまま失墜してしまうのか。分かれ目はどこにあるのか?
■炎上を中途半端に狙って 豪快に空振りしたフジテレビ
7月25日に放映された、FNS27時間テレビが豪快に空振りをした。
「めちゃめちゃピンチってるッ!本気になれなきゃテレビじゃないじゃ~ん」という、ツッコミ入れてくださいといわんばかりの煽り系タイトルといい、人気芸人たちにテレビへの不満をプレゼンさせるなどの企画といい、
この番組が「ネットでの炎上による話題化」を目論んでいるのは明らかだったが、フタを開けてみれば平均視聴率10.4%(同番組歴代ワースト3)。火柱どころかさざ波すらたたない地味な結果となってしまったのだ。
さらに弱り目にたたり目ではないが、番組公式Tシャツの「HONKY」という文言が白人を侮蔑するスラングだったことや、番組内でパロった「TED」の許諾を得ていなかったことなどが判明し、視聴率には還元されない「ネガ炎上」まで招いてしまっている。
なぜこんなお粗末な結果になってしまったのかといえば、フジテレビ上層部が、「炎上」というものをまったく理解していなかったことに尽きる。
もちろん、「ギョーカイ人がハメを外して大騒ぎをすれば、パンピーは食いつくでしょ」というバブル期の感覚を未だに引きずっているということもあるが、「炎上」の押さえるべきツボを見事にハズしてしまっているのだ。
実は海外では我々が「炎上」と呼ぶ現象を、当たり前のようにビジネスへ結びつけている。マーケティングの世界では、口コミを獲得して話題になることを「バズる」(Buzzる)というが、
そのなかでも確信犯的に「バズりそうな餌」を放り投げて、「空気」が盛り上がったところで一気に刈り取るというスキーム、つまり「炎上商法」が、立派に市民権を得ているのだ。
有名なところでいえば、2011年に話題になったルーマニアのチョコレート菓子「ROM」である。
このお菓子はパッケージにルーマニアの国旗をあしらっていて、ルーマニア国民に抜群の認知度を誇っていたが、近年売り上げが低迷していた。
そこで、パッケージをアメリカの星条旗にリニューアルをするというテレビCMを放映。店頭でも大々的なプロモーションをしたのである。これに即座に反応した人々がいる。
愛国心の強い人々だ。
■「ネトウヨ」を怒らせて ブランド認知度が124%アップ
日本の「ネトウヨ」、韓国の「VANK」を例に出すまでもなく、どんな国にも強烈なナショナリズムを有するネットユーザーがいる。
ルーマニアもしかりで、彼らがアメリカに魂を売った国民的チョコを売国奴さながらに厳しく批判、かつて花王やフジテレビが標的になったような抗議デモにまで発展したのである。
と、ここまではよく聞く「炎上騒動」だが、「ROM」が他と一線を画していたのは、これらがすべて緻密に計算されたシナリオだったということだ。
世論が大きく盛り上がったところで、星条旗プロモーションはジョークで、「ROMはルーマニア国民の誇り」ということを示すための「炎上商法」だったことを公表したのだ。結果、「ROM」のブランド認知度は124%アップし、市場シェアも大幅に回復をしたという。
この「ROM型炎上商法」は、実はかなりベタなスキームである。12年、ニュージーランドの「Monteith's」というサイダーのケースのなかに、小枝が紛れ込んでいることが発覚した。この国でも食の異物混入は大問題である。
08年には最大手の乳製品メーカー「フォンテラ」が出資している中国の粉ミルクメーカーの製品に、メラミンが入っていて大騒ぎになったこともある。
問い合わせが殺到してメーカーはすぐに謝罪広告を打ち、混入の原因を濃縮還元していなかったからと説明した。つまり、これは「大自然の中でつくられているサイダー」というPRであり、ワザと小枝を紛れ込ませたということだったのだ。
日本ではツッコミを入れるようなネタをわざと仕込んでネットユーザーを引っ掛ける行為は「釣り」と呼ばれ、ネガティブに受け取られているので、もしそのまま同じことをすれば「騙した」などと批判を浴びそうだが、
そのような悪評も織り込み済みでおこなう「ROM型炎上商法」というのは日本でもよくおこなわれている。
最近の事例でいえば「絶歌」だ。記事の続きや関連情報はリンク先で)
引用元:ダイヤモンド・オンライン http://diamond.jp/articles/-/76299
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